膝関節疾患について

膝蓋骨内方脱臼/外方脱臼

■ 膝蓋骨脱臼とは?

膝蓋骨が、大腿骨遠位にある滑車溝から、内方もしくは外方に脱臼する疾患です。
発生の70%~80%は内方脱臼で、その発生の多くはトイプードルやチワワ、ポメラニアン等の小型犬です。
外方脱臼はラブラドールやゴールデン等の大型犬で多くみられますが、小型犬でも発生がみられます。

■ どんな症状が?

膝蓋骨脱臼のグレードにより症状は様々ですが、そのほとんどは間欠的な跛行を呈します。
患肢を曲げたまま数歩歩く、歩き始めにスキップをする、脱臼した膝蓋骨を元に戻そうとして後肢を伸展させる等の症状が見られます。
グレード4になると、重度の跛行を呈することが多くなります。

◎グレード1
指で押すと脱臼するが、指を離すと元に戻る。 普段の生活の中で自然に脱臼することはありません。

◎グレード2
指で押すと容易に脱臼するが、指を離しても自然には元に戻らない。
普段の生活の中で自然に脱臼することがあり、元に戻ると跛行がおさまる。

◎グレード3
普段から脱臼したままで、 指で押すと正常な位置に戻せるが、指を離すと脱臼した位置にもどる。

◎グレード4
普段の生活では、習慣性になると痛みがないように見えますが、膝肢の音、関節の回転、ゆがみが生じてきます。

■ 手術の適応は?

1)非常に若い時期((3~6ヶ月)に脱臼が見られたとき。
手術をしないと脱臼の整復ができなくなる、 もしくは成長にともなって骨が変形し歩行が困難になる可能性が高いため、 手術が必要になります。

2)7ヶ月以上で脱臼のグレードが2で症状があるとき。
将来的にグレードが進行し、脱臼が整復できなくなることがあるため、手術が必要になります。 症状が無く、5才以上の場合は手術を見合わせる事もあります。

3)7ヶ月以上で脱臼のグレードが3以上のとき。
グレードの進行と膝蓋骨内側の軟骨の消失による痛みが持続することが予測されるため、 手術が必要になります。

4)一般的には、グレード2~3までが手術の対象となります。
グレード4の場合は完全な回復は見込めずある程度の症状が残る可能性があります。
また大腿骨変形矯正骨切り術など特殊な技術が必要となる場合は、2次診療施設へご紹介させて頂くこともあります。

5)膝璽骨外方脱臼の症例のとき。
内方脱臼よりも強い症状を呈することが多いです。関節炎の進行を最小限に抑えるためにも、整復手術が必要となります。
また、術後の再脱臼の確率は内方脱臼よりも多い傾向があります。

■ どのような手術の方法?

1)滑車溝形成術
一般的には、膝蓋骨がおさまっている大腿骨遠位の滑車満表面にある硝子軟骨ごと削って溝を深くする方法が多く用いられています。
しかし、滑車表面の硝子軟骨は再生せず、削った部分と膝蓋骨との接触性が悪くなる可能性があります。
このため当院で、V字切開を行い、滑車溝表面にある硝子軟骨を温存しながら、溝を深くする方法を用いております。

2)脛骨租面移動術
これは脛骨稜に一部骨切りを行い、膝蓋骨靭帯の付着部を脛骨稜に付着させたまま内方もしくは外方(内方脱臼であれば外方)に移動させる手技です。

3)その他
その他補助的に関節包の縫縮術、開放、人工靭帯による牽引、内側広筋の切離などを行います。

■ 合併症は?

通常グレード3までの膝蓋骨内方脱臼において合併症はまれです。
膝蓋骨内方脱臼グレード4の場合や外方脱臼で、合併症のリスクが高まります。
合併症として、再脱臼がどんな施設でも言われています。

前十字靭帯断裂

前十字靭帯断裂とは?

あらゆる年齢で起こり、後肢の跛行や挙上がみられます。
膝関節の安定化を担っている前十字靱帯が断裂することにより、膝関節の不安定性が発現します。
膝蓋骨脱臼を生じている場合、肥満、加齢により断裂が生じやすくなります。
断裂した前十字靱帯の断端から炎症性のメディエーターが放出されるため、膝関節の関節炎が起こります。
また膝関節不安定性により二次的に半月板損傷が引き起こされます。これらが前十字靱帯断裂時の痛みの原因になっています。

■ 治療法は?

当院では、人工靭帯を用いた関節外制動法を実施しています。
他の手術法を希望される場合は、2次診療へのご紹介をさせていただきます。

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